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上・お水とリ。.聖水「サンジュワン様」はオランショを唱えないと出ない神秘の水である[堺目]
下・お水とり。聖地中江ノ島で、行事に使われる聖水「サンジュワン様」を取る[堺目]

 

そういえば、お墓も中江ノ島の方を向けて立てられています。
鳥山…若い時代、土葬で棺桶を埋めるときも、必ず「お迎え様」(中江ノ島)に顔を向けるようにと言われました。やはり聖地なんですね。
谷川…隠れキリシタンの信徒の中で死人が出た時はどのような儀式をしますか。
田淵…「もどし方」という行事を、和尚さんの来る前に行います。私がおやじ様を務めていた時は不幸が一度もなかったので「もどし」はやったことがありませんが、長老から伝授されましたのでそのメモを紹介します。もどし方に行く時は、行水をして御身を清め、御用着物(祭りのときに着る着物)を着る。行水をした時、体は水拭きをしないまま、御用着物をカクサマ(奥さん)が後ろから着せてやる。用出の前に御前様にお光を上げ、ごんれい(オラショ)を上げてマッチとろうそくを袂に入れて家を出る。カクサマはもどし方が終わりおやじ様が戻ってくるまで、動かないで正座して御前様にお光を上げて待つ。道中人に会ってもおやじ様はものを言ってはならない。死亡者の家に着くとまず、上がり口で死亡者の名前(おさずけの名前)と命日を聞く。その後お茶が出て、中し立てを言っていただく。その後、六巻のこんれいを上げる。それが済んでからもどしに入る。死亡人の前に座って、立会人の息子などに死者を後ろから抱き起こさせ、火を付けたろうそくを死者の顔の前に持ってくる。それでまた六巻のこんれいを上げる。

 

 

 

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